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2011-12

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ブータンは本当に幸福の国か ~その① - 2011.12.18 Sun

先月、ブータンの5代国王夫妻が訪日し、日本であまり知られていなかった「ブータン王国」という国が一躍有名になりました。
私も久しく連絡がなかった知人などから何通かメールを貰ったり、このブログのヒット数が一時通常時の15倍になり驚きました。

ブータンがこんなに取り沙汰された理由の一つは、間違いなく「世界一幸福な国」という冠がブータンにあるからです。
3月の震災から人々の価値観が変わっていき、物質的な豊かさを追い求めることに疑問を感じ始めた日本人。
そこに、ヒマラヤの貧しく小さな国から「私たちは心が豊かな世界一幸福な国。」というメッセージがタイミングよく届いたのでしょう。

でも、世界の屋根に囲まれたなんの産業もない国の人たちがなぜ幸せなのか、疑問に思う人も多いかと思います。
実際暮らしていると、幸福とは裏腹な側面も数多く見受けるのも本当です。
暖房もなく、お風呂もなく、食べるものは毎日同じで、重い荷物を背負子で背負って何十キロも離れた町まで物資を売り買いしに出かける。
無計画で突然知らされる重要事項、約束は日常的に破られ、あまり働かず、すぐに言い訳で責任逃れをし、悪いことは人のせいにする。
そんなブータンの暮らしについて、本当の幸福を語ることは非常に難しいと思います。


でも、日本に一時帰国したら、会う人みんなに聞かれるだろうこの事。

そこで、私の暮らしの中で感じる「ブータンはなぜ幸せか」を、少し書きたいと思います。


************************************

ブータン着任間もない頃、ドミの水道管が破裂して4日ほどお風呂に入れないことがありました。

非常に寒い時期だったので、暖房器具がヒドいこの国の生活の中で、これはかなりこたえました。
でも、ここで思ったのが「あきらめるしかない。」ということです。
どう頑張っても、思い通りにならないことはある。
むしろ、思いどおりにならないことが当たり前だ。
だったら、あきらめよう。
こうすることが、ストレスをためずに済む最も良い方法でした。

思えば、私の小さい頃もそうでした。
日本の中でも有数の田舎で育った私にとって、テレビや雑誌で見るような都会の子供が手にできるものは殆どありませんでした。
中学は歩いて通える範囲にありませんでした。
高校は3つの中から選ぶしかありませんでした。
職業も公務員か学校の先生が良いとされていました。

「他に選択肢がないからあきらめよう。」
いつもいつも、あきらめの連続でした。

でも、星も川も森もブータンで見るよりきれいでした。
豊かな自然の恵みにあふれ、動物や植物の知識は、暮らしの中で身に付きました。
四季折々の行事で、村がにぎわいました。
そして何より、自分の暮らす村は都会より素晴らしい、と思っていました。

12184.jpg

私は、ブータンという国は私が子供のころに暮らした村と大差ないと感じています。
だから、新たな経験とか、自然に対する感嘆とか、そういう新鮮さをブータンに感じることはほとんどありませんでした。
(私の同期の隊員は赴任直後、卵を洗って使うことすら知らなかった。これが「ブータンを特別な存在だと思えるかどうか」の大きな違いだと思っています。)


  * * * *


デジャヴのような経験を持つ私にとっては、単純に日本とブータンを比較し、ブータンのほうが幸せだと思うのは間違っていると感じます。
むしろ、私は日本に生まれ育ったことを本当に幸せだと感じる日々を、この世界一幸せだと言われる国で送っています。
日本が失ったものをブータンは持っているかもしれませんが、ブータンが絶対に手に入れられないものを日本は沢山持っています。

12183.jpg

ブータンの社会は、知り合いのコネクションで動く国家的村社会です。
会社より家族、仕事より友達が大事で、時に「今日は彼女と喧嘩したから仕事になんない。」というようなプライベートな事情から大きな仕事が突然、完全にストップすることもあります。
個々のつながりを大切にし、時に何よりそれを優先させるブータンは、大きな組織を動かす下からの底力に欠けており、そのため究極のトップダウン方式しか通用しません。
だから末端にいる人間は考えることをやめ、上からの支持をただひたすら待つだけになってしまいます。
「考えても鶴の一声で無駄になる。だったら考えるのをやめよう。思い通りにするのはあきらめよう。」
「それより困ってる友達や家族を助けよう。これならできる。」
本当にこう思ってるかは分かりませんが、ブータンの人は皆親切です。
体調が悪いというと、「寂しいだろうから一緒に寝てあげる。」といいます…これはちょっと困りますが。
でも、誰かにいつも支えられている安心感があります。

それに対し、日本は非常に機能的な共同体であるように思います。
民主主義的に物事がある程度事前に決まり、それに従って皆が一様に動いたりルールを守る秩序があったりするために、個よりも集合体として力を発揮でき、日本社会はうまく回転していられるのです。
だから、流通が機能するし、物資が不足することもないし、正しい情報が得られるから混乱も少ない。
大きな震災からも立ち上がることができるのは、こういう世界でも類を見ない「秩序の国家」だからでしょう。
そして、常に「より良くするための工夫」を重ねてきました。
こういう日本の価値観は失ってはいけないものだと思います。
でも、この枠からはみ出した人間に対してとても冷たい一面を持っています。
他人との距離感も遠いので、孤独を感じやすいのも事実です。
行き場を失った人は、自殺を考えます。

どちらがいいかなんて、分かりません。
でも、どちらも世界に実在する「奇跡の国」であることには違いありません。

12181.jpg

  * * * *

最近、日本でもGNH指標を作る動きがあるようですが、ブータンの模倣にとどまってほしくはないと思います。
ブータンはあくまで「昔のままのブータンでありつづけること」で幸せを感じようとしているのです。
「私たちの文化はすごいでしょう、自然がきれいでしょう、見てください、この素晴らしい国を!」
こういい続けることが、何もないこの国で実現可能な唯一の「世界に誇れる幸せ」なのです。
そして、他者から「そうだね、本当にいいよね。」と羨望を受けることで、その幸せはさらに増長します。
だから、ブータン人化できない外様の私には、この幸福感がない。

日本は、先進国です。
すでに昔の日本を失ってはいますが、だからこそ、より素晴らしい人間のあるべき姿を追い求められる可能性も秘めています。
日本人の豊かな感性や、創意工夫の力、探究心、これは世界の何処に行っても通用する宝であり、これがあったから戦後の復興や高度成長にもつながった。
より良くすることと、自然、人間の精神的充足感のバランスをうまく保つことが、日本らしい幸福の追求のような気がします。
日本には近代的な幸福を模索するパイオニアになってほしいなぁと、思っています。

そうすればいつか、日本人が口をそろえてこういうでしょう。
「日本は素晴らしい国です。皆幸福ですよ。」

12182.jpg


次回は、「幸福」を数値化しようという動きについて、GNHCの調査結果をもとに書いてみようと思います。

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帰国します。 - 2011.12.18 Sun

12月31日、ブータンを出発し、1月1日の朝、初日の出フライトで日本に一時帰国します。
滞在は18日までで、19日の午前0:20、また日本を出ます。


事情があって帰国予定を少し先に延ばしたんだけど…
今はもう、そんなことどうでもよくなってきてしまい、一日も早く帰りたくて仕方ない。
こんなことで、泣けてしまいます。

フライト変更できないかな…

はるかノスタルジィ - 2011.12.15 Thu

ブータンの男性用民族衣装『ゴ』

DSC_0176_R.jpg

スコットランドのキルトと並び、いろんな意味で着る人を選ぶ、かなりハイレベルな民族衣装かと思います。

この寒いブータンにおいて、なぜこんなミニスカ丈の服装をするようになったのかは全くわかりませんが、丈を除けば日本の着物とよく似ています。


先日、隊員総会でJICA事務所の倉庫から、竹馬が出てきました。
みんなで乗ってみよう!ということになり、正装であるゴのままトライしたら
なんだか懐かしい日本の風景になりました…

takeuma2.jpg

takeuma1.jpg


……違和感ゼロ。





*キルト…キャンディ・キャンディで丘の上の王子様がはいてたタータンチェックのスカート。
oujisama_R.jpg

本物はコレ。
3_R.jpg


にわっちTシャツ世界を巡る - 2011.12.14 Wed

二本松訓練所の生活班で、おそろいのTシャツを作りました。
以前、ブログで集合写真を載せましたが、その時に着てたものです。

3班_R


ちなみに「にわっちTシャツ」と呼んでいます。
にわっちというのは、同じ班にいたエチオピア隊員。
実は彼女の写真が、そのままプリントされているから「にわT」なのでした。


これは、班内で唯一美術系隊員であった私がデザインしたもので、真冬の訓練所でもみんな気に入って着てくれていました。
それぞれの任地に行ってからも、各地でこのTシャツを着て撮った写真を、班内のメーリングリストにて送りあっています。
残念ながらブータンは1年のうち8割が寒くて半袖では過ごせないので、私の写真は少ないです。。。

そんな中、こんなリンクが送られてきました。

http://www.cqwb.com.cn/cqwb/html/2011-12/13/content_295288.htm

中国の重慶に派遣されている隊員が、新聞に載ったそうです。
 *中国語なんで、分かる人、訳して…

その時に着ていたのがたまたまこのTシャツだったそうで…
いやー、デザイナーとしては感慨深いですね。


世界を巡るTシャツの話、でした。

ヤンキルレストラン - 2011.12.11 Sun

ティンプーで隊員総会があり、先週の日曜日から1週間のドミ暮らしをしていました。
年に2回ある隊員総会。
今回は様子をブログに書こうと思っていたら、なんとブータン全域で2日間ほど完全にネットがストップし、やる気が萎えたのでまたの機会に…

ティンプーには、パロにないたくさんのレストランがあります。
といっても、多国籍な感じはあまりなく、せいぜいインド料理、タイ料理、ネパール料理、がんばってイタリアンぐらい。
ちょこっと和食が置いてある店もありますが、本格的な日本料理は食べられません。


ブータン料理のバリエーションは多くありませんが、その中で私が一番のお気に入りがこれ。
RIMG0165_R.jpg
ポークリブと大根を唐辛子で煮込んだ料理。

この料理を出すお店は、嵐の相葉君がブータンに番組取材で訪れた時にブータン料理を食べた店。
観光客こそ来ませんが、実は地元民の有名店です。
以前は伝統的な建物でやっていましたが、新しいビルに引っ越して、こんなおしゃれに!!!
RIMG0164_R.jpg

ちなみに以前のお店はこんな感じ。
RIMG0166_R.jpg

相葉君が、辛い辛いと言って食べてたのは、こっちの店舗の時の映像。
私も一番最初に来たときは、辛くて全部食べられませんでした。
でも、今は完食。
ティンプーに上がった時に必ず寄っています。

レストランの名前は「ヤンキルレストラン&バー」。
ポークリブとご飯で110Nu(約200円)です。

ちなみに上の方に写ってる赤いのは「エゼ」といって、乾燥唐辛子に玉ねぎとトマトを加えた、ブータンの漬物です。
ローカルレストランでは、必ずと言っていいほどこれが出てきますが、ここのエゼはおいしいです。


ティンプーに上がると食が豊富で、確実に太って帰ってくるのでした。。


世界障がい者デー - 2011.12.03 Sat

今日、12月3日は『International day of persons with disabilities~世界障がい者デー』です。

ブータン国内の特別支援学校では、各校で様々なイベントが行われます。
私の配属先のろう学校では、パロの中心部にある公園(Town Plaza:通称マニ公園)にて催しが開かれました。

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今日は快晴。
大勢のお客さんが見に来てくれました。
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こちら主賓席。
パロ在住ののダショーや、視覚障害の方も招待されました。


JICAブータンの所長さんご家族や、担当調整員さん、パロ在住のボランティアの人たちも来てくださいました。


まず、手話でブータンの国歌斉唱。
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このゾンカ手話の国歌は、この学校で作られ、毎朝の朝礼の際に健聴の生徒たちの歌声に乗せてsignしています。
英語を基にしたものなので、いくつかの単語は英語に同じなのですが、国歌に出てくるKing、お坊さん、経典などは、オリジナルです。

校長先生のあいさつも、手話に翻訳されます。
DSC_0148_R.jpg


手話のデモンストレーション。
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職業訓練で制作された商品の販売。
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成績優秀者の表彰式も行われます。
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Art Prizeの選抜を頼まれたのですが…
いやー、困ってしまいました。
各クラスに一人づつしか選べないので、出来るだけ小さな子にあげました。
プレゼンターは、教育省カリキュラム局で美術のカリキュラムをJOCVとともに作っている、日本語ペラペラのニマさん。
DSC_0301_R.jpg


ダンスもありました。
聞こえない子どもでも、先生の合図を頼りにこれだけ踊れます。
私も初めて見たとき、驚きました。
5つのダンスがあったのですが、データが重い…
一番生徒の数が多いやつをアップします。

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このイベントにはブータン各地から生徒の保護者が訪れ、生徒は家族とともにそれぞれの家へ帰っていきます。
来週からは、さみしい学校です。


デモンストレーションの手話スピーチの中で、生徒がこう話していました。

『私たちはあなたたちと同じ。ただ、コミュニケーションの方法がちがうだけ。』

思えば、ゾンカの分からない私も、彼らと同じ。
この1年、この子どもたちと共に学び、成長させてもらっていた。
私が赴任したての2月に撮った写真を見返すと、子どもたちはみんな随分と大きくなったのが分かります。
彼らに囲まれて本当に幸せだったと思えた、年度最後の日でした。



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プロフィール

HIYOKO

Author:HIYOKO
JOCV(青年海外協力隊)平成22年度3次隊・青少年活動
2011年1月6日~2013年1月5日 ブータンにて活動。
パロ県ドゥゲルのろう学校で美術を教えていました。

**********************
2013年、ブータンでの暮らしを描いたノンフィクションを、出版していただきました。
000_R.jpg
「ブータンの学校に美術室をつくる」
WAVE出版
定価 1,512円(本体 1,400円+税)
A5判 上製 164ページ
ISBN 9784872909616

WAVE出版
●amazon
●TSUTAYAオンライン
●紀伊国屋
●セブンネットショッピング
●クロネコヤマトのブックサービス
●Jbook


**********************
★ブータンの素材を使った雑貨を手作り販売しています。

gal1.jpg

売り上げの一部が、勤務していたブータンのろう学校へ西洋美術の画集を贈る資金になります。
販売は以下のサイトで!
ハンドメイド・手作りマーケット tetote(テトテ)

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